2011年02月13日

過度な水洗の弊害について

人間、体にいいことは何でもやってみたいと思うのはアタリマエのことです。
その中の一つが「泳ぐ」ということ。
水の中で全身を使うわけですから、筋肉はほぐされて活性化する・・・これは体にとてもいいでしょう。

ところが印画紙が全身運動で泳ぐ、という環境は紙を傷めてあまりよくありません。

これ、実際にあったことですが・・・・・

売り場で勤務していた頃、こんなクレームを聞いたことがあります。
内容は、最近買った印画紙が古いものではないか、という内容。
印画紙のフチの周辺が変色して黄色味を帯びているのです。

対象となったのイルフォードのRCペーパーで25Mという六切サイズのものでした。
イルフォード社の場合、ロットナンバーは記載されているものの基本的には期限の線引きはありません。

私はすぐにメーカー(代理店)に連絡をしました。
問い合せた内容は二点。このロットナンバーの印画紙が古いものに該当するかどうか、ということと、このロットナンバーでの事故報告があるかどうか、ということ。
結果はどちらもシロ。となればお客さんの使用環境による問題が大となります。

問題の印画紙でプリントした写真を机の上において見てみると、RCペーパーのくせにずいぶん平面性が悪いように思われました。

私は事故のあった残りの印画紙を預かり、自分の家の暗室でプリントしてみました。
フチが黄色くなるという現象はまったく見られません。

結論から言えば「変色」については

1)定着時間が長すぎた
2)水洗時間が長すぎた

の二点が原因で紙の繊維が崩れて定着抜けが悪かった、ということ。

またクレーム外の「紙の平面性の悪さ」については

浴槽での水洗で大量に水を流しっぱなしにしていた可能性があるということ。
結果、水圧で泳いだ印画紙が変形してしまったのではないか、ということでした。
これ、人間で言えばドザエモンですよ。

そういえば市販のプリントウォッシャーは平面構造のものばかりです。

後日、お客さんに報告するとすべてビンゴだったようです。
浴槽で水洗処理をしている方は多いと思われますが、なかなか水圧までは考えが及ばないものです。

教訓でした。




posted by 暗室奉行 at 10:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 失敗分析 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月14日

試し焼きから本番へ・・・あれ???

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写真を長くやっていれば、出展のチャンスは何度かめぐってくるものです。

コンテストであれ共同展であれ、気合が入るのは当然のこと。何日も前からイメージ作り、準備、データ取り、本番といった作業を繰り返すのでしょう。私も何度か経験いたしました。

完全燃焼してベストを尽くした後はグッタリくるんですけど、どうも落ち着かない。なぜか不安になってくる。もう一度、作品を見ると、それまで気にならなかったところが気になってくる・・・・よくある話です。

なので、完全燃焼して終了宣言をしたのはいいけど、いざというときのために印画紙や薬品の予備がないと落ち着かないことがよくあります。で、よく作業終了の時に一枚だけ予備に残しておこう、とします。しかし、いつも思うのは、

(印画紙を一枚だけ残す方が、むしろ中途半端ではないか・・・)

という気持ちなんです。

だって、その一枚を失敗したらどうしようもないでしょう?
なので、安心したいがために2〜3枚残すように努めています。

けども、これで思わぬ失敗をしたことがあります。
それは、この2〜3枚残しておいた印画紙で試し焼きをした時であり、その時は別に何とも思いませんでした。普通に絵柄が出てきましたから。

で、本番プリント。
新しい印画紙の封を切ります。

同じ露光をすれば同じ絵柄が浮かび上がるはずですが・・・・・
・・・・・・・出てこないのです、絵柄が。

一瞬、印画紙の不良を疑いました。正直、ちょっとあせりました。

(何か間違えたかな?)

冷静になって二枚目も同じ条件で露光をかけます。
やはり、絵柄は出てきません。

今度は、データを無視して思い切り濃い目にプリントしてみました。するとちゃんと標準に近い濃度で出てきたのです。同じ種類で同じサイズの印画紙なのになぜ・・・・?

両者で違っていたのは製造年月日とエマルジョンナンバーだけですが。。。
実は、このエマルジョンナンバーの違いはかなり大きいことがあるのです。

特にバライタ。

私が遭遇したのはフジのレンブラントV G2でした。試し焼きをした時の印画紙と本番の時の印画紙との製造年月に差があれば、それも納得いくかな、と思ってみたりしましたが、レンブラント自体がそう古い印画紙ではありません。なのにこの結果です。

極端に古い印画紙を使った場合、よく「風邪をひいたプリント」と言って像がろくに出ないことがありますが、これはよほどのケースだと思っていました。比較的、新しい印画紙同士でこんなケースは初めて経験しました。

意外な結論で大騒ぎしてしまいましたが、実際にあったことです。
posted by 暗室奉行 at 02:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 失敗分析 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月12日

原因不明の白点

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あれはちょうど今日のような、冬の寒い日の出来事でした。

印画紙現像液の性格を調べるためにパートナーと一緒に実験を繰り返している時に、それは起こりました。

作業が終わり、片づけをしようと水洗後の写真にスキュィージーをかけ、乾燥させていると、ある特定の絵柄のプリントだけが、一面に白い斑点を帯びているのです。不思議なのはその前後のプリントにはそのような現象が見られないし・・・、おかしなものです。

まず、疑ったのは水洗。サビか何かだろうとしばらく水を流しっぱなしにしていましたが、どうもそれらしき様子はありません。原因がまったくわかりませんでした。

誰に聞いてもいろんな答えが返ってくる為、しばらくは謎のままでした。

そして、その謎もわからないまま数ヶ月が過ぎ、ある高名な写真家の先生K氏から、ある相談を受けたのです。その先生はモノクロのワークショップを主催しているが、このようなことは初めてだ、と切り出し、私にあるネガを見せました。

見るとネガに黒いコールタールのような斑点がいっぱい散らばっており、現像した本人もショックを受けているとの事でした。

先生の話では、その生徒さんの前後にも同じ作業をした方が数名いて、その方々のネガはなんともなかったとの事、何が起こったのでしょう。。。。。。

こういう時、メーカーに聞いても大概は納得のいく返事は返ってきません。クレームを恐れてのことでしょうが、「恐らく・・・・でしょう」的な回答がほとんどです。まぁ、もともとアテにしていませんから。

で、私は自分の持つネットワークに数度、確認したら、ほぼこれで間違いない、という結果が出ました。しかも、私が暗室で実験していた時と同じ原因だったのです。

実は、私が印画紙現像をした時、そしてK氏の生徒さんがフィルム現像をした時、ともに薬品は粉剤で、しかも溶いてから時間がほとんど経っていないものでした。つまり、液が安定しないまま使われたのです。

K先生に確認したら、やはりその生徒さんの時は新液を溶いた直後だったとのことでした。私が鑑定を依頼したH氏によれば、預かったネガをプリントしてみたら、かなり濃度がのっていて1号でプリントしても肉乗りがすごく、しかも濃度にバラツキがあるとのことでした。うーん、納得。

現像を急いでいる時、粉剤を溶いた後で蛍光灯の明かりに透かして、よく混ざったかどうか確認しますよね。あの程度では確認できないのです。溶けたように見えて、実際は溶けていなかったんです。

しかし、問題はまだ残されています。私の時にせよ、K先生の生徒さんの事例にせよ、他の印画紙や生徒さんに被害がなかったのは何故なのか、これは調べる必要があります。

実はこれも程なくして解りました。私の場合、該当する印画紙はフジのWP FM2号、そしてその前後はイルフォードの多階調印画紙。また該当のK先生の生徒さんのフィルムと他の生徒さんのフィルムは違う種類。。。。。もうお解かりですね。

印画紙、フィルム双方に違う物だけど、乳剤層の厚さに違いがあります。乳剤層が薄いものに被害が出ているのでしょう。これで納得です。

粉剤は溶いたら半日寝かすように、とのことはいろんな人から聞き、いろんな書物が解説していますが、具体的にどんな被害に遭うのか、までは解りませんでした。教訓、教訓。

ラベル:原因不明 印画紙
posted by 暗室奉行 at 22:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 失敗分析 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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