2011年02月19日

マスコタンク

DSCN2053a.jpg


今日はお買い物の話をしてみたいと思います。

暗室デビューを志す方は私のように出来るだけ低予算ではなく、中にはいいものを最初に買っておいて、後悔することなく進めたい方も多いと思われます。
でも、ちょっと聞いておいて欲しい事があるんです。

それは・・・・・

ちょっと本格的に暗室を始めようとした方が、ある達人に現像タンクは何がいいのか、と相談を持ちかけたのです。で、その方は初心者ならノンベルト式がいいけど究極ならマスコタンクだな、と言うわけ。かなりやっておられる方なら、このご意見には賛成でしょう。私だってそう思います。

しかし、初心者の心理は複雑なものです。

(始めたはいいが、回数こなすうちにいいものが欲しくなったらそれはそれで後悔する。だからいいものを買っておこう。)

こんな感じでこの方、マスコタンクの方を買ったのです。(ちなみにこの方、女性の方でした)
何とかこの現像タンクを使いこなして腕を上げよう、と思ったのでしょう。考え方は正しいと思います。

で、買ってから作業をする中で最初の難関・・・・・フタが開かない。信じられないことにフタがビクともしない。申し訳程度についている説明書には、開きにくい場合はロウを塗れ、と書いてあります。

しかし、それはフタを閉める前に読まなきゃいけないことであって、閉めてからではどうにもなりません。メーカーの不親切ぶりを罵る前に、フタを開けなければいけないのです。

で、私のところへ、「何とかしてくれ」と電話が入るのですが・・・・・
ちなみに、マスコタンクのフタは「ひねる」のではなく「持ち上げる」感じでフタを外すのがコツです。
これは、機密性を高めるための構造で、ある程度はやむを得ない部分があります。
このタンク、実は随所に工夫があって、上から見れば解りますが、リールの構造も間隔が不均等です。それにより液の対流のバランスがよくなって、ムラが起こりにくいのです。

そして次の難関・・・・・35mmフィルム2本分のタンクでしたので、1本だけフィルム現像する時には1本だけリールを入れればよい、とこの方は考えていたようです。

ダメ、絶対にダメ!
だって、上から見たらリールが丸見えだもん。
せっかくのフィルムがパーになっちゃいます。

うーん・・・・なぜ、こんな不親切設計のタンクがいいのでしょうか。

この話、実はプロ機材と一般の商品の区別から始めなくてはなりません。

一般の商品というものは、初心者からベテランまで幅広い層のユーザーを見込んで作られています。また、説明書も一応、誰が読んでも解るように心がけているようです。
そのため生産量も比較的多く、結果、値段も手ごろな物が多いです。

しかし、プロ機材というのは決してユーザー寄りではありません。最高水準の仕上りを求める方に使って頂きたい、その為には使いにくさや工夫はユーザーの方に克服して欲しい、というのがプロ機材の定義です。

これは何も現像タンクだけに限ったものではありません。
最近では「・・・・プロ」と名称がつく商品がやたらと多いですが、それは単に上位クラスを意味する場合もあります。でも、本当のプロ向け商品は初心者には使いづらいものです。

買い物は本来は自由ですが、初心者の方が使われると知れば、私なら間違いなくマスコタンクは勧めていません。
わずかなムラの話や液の対流の話、保温性能の話など初心者には無縁のものだからです。
まずは、正しく巻き込んで現像の楽しさを知ること。
プロ機材に手を出すのはこの次のステップですから。

ここで覚えておきたいのは、プロ機材と一般商品の区別。そして、達人の意見が本当の意味で自分に適しているかどうか、という点。

難しいことを乗り越えるのも趣味ですが、まずは楽しまなきゃ。








posted by 暗室奉行 at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 豆知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月15日

マイフィクサー

以前、イルフォード社の専用薬剤として中外写真薬品が売り出していた定着剤に「ハイパムフィクサー」というのがありました。これは自社ライセンスのため今では「マイフィクサー」と名前が変わってしまいましたが。

この定着剤、印画紙に使用するにはいいけど、フィルムにはちょっとした注意が必要です。
非硬膜タイプなので爪のスクラッチ跡がよく出来てしまうのです。
特に夏場など高温のまま使ったりすると大変なことになってしまう。

スポンジでぬぐった瞬間に膜面が剥がれ落ちた人もいます。

メーカーになぜ硬膜剤を入れておかないの、って聞いたら、硬膜剤を入れると日持ちがしないし、処理時間も延びるとのこと。
そうなのか・・・・・。
ちなみに、この薬品は疲労度をハイポ計で測ったりできません。
たとえ新液でも測った瞬間にドボンと沈んでしまいますので、念のため。


余談ですが、中外写真薬品さんの液体の薬剤のロットナンバーの読み方には法則があります。たとえば「0123T」と記載されていた場合で最初の「0」は2010年、つまり年号の末尾を表し、「123」は123営業日に作られたものです。Tは聞いてなかったけど出荷元かな。おそらく東京のTでしょう。

ということで、何かのお役に立てれば。

posted by 暗室奉行 at 00:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 豆知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月01日

廃液処理はどうすれば・・・

暗室モノクロ写真を楽しんでいると、ちょっと気になることがあります。

廃液・・・・・つまり現像液や定着液の廃液、どうしてます・・・?
流しやトイレでジャーッ、ですか?
面倒くさいし、それでいいんじゃないの、というのが大方の人の感想でしょう。
実際、複数のプロを取材した時にも、ほとんどがそんな声でした。
しかし、そんな方の中にも定着液をどんどん流して、配水管が腐食して家一軒まるごとつぶれた、という方もいました。

では、廃液に対するメーカーの公式の見解はどうなのでしょう。

以前のフィルムメーカーの薬液の袋には「大量の水で薄め、下水で処理して下さい。」という一文が添えられていましたが、本当にそれでいいのでしょうか。

特に、最近では環境面で色々と問題が多いし。
自分たちの楽しみが環境を破壊につながっていいはずはありません。
メーカーも本腰で考えています。

で、最近はどうなのかと言えば、袋には「市町村の条例に従って処理して下さい。」だと。
・・・・・・丸投げだわ、それ。
しかし、そんな案内になるのは市町村で統一見解がない、ということになるんだけど。

引伸ばし機を作っている藤本写真工業さんの見解では、廃液処理業者さんに依頼してください、とご案内しているそうな。カメラ店やプリントショップの現像機から出る廃液を回収して回っている業者さんですね。

方法としては、大き目のポリタンクを二つ用意し、現像と定着に分けてためていくんです。そして何本かたまったら電話して回収に来てもらう、とのことです。話では頻度が多いとポリタンクもレンタルしてもらえるそうです。多分、薬品のMSDS(安全データシート)までは出せとは言わないだろうけど、何の薬品を使ったかは解るように、空袋ぐらいはタンクの上に貼り付けておきましょう。

ご案内しておきますので、料金やその他は直接問い合わせしてみてください。

アサヒプリテック株式会社
http://www.asahipretec.com/

タグ:廃液 環境
posted by 暗室奉行 at 21:19| Comment(2) | TrackBack(0) | 豆知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。