2011年01月10日

暗室の豪華さと作品の出来は比例しない。

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このサイトをお読みの方の中に、自分でも暗室を作ってみたい、モノクロ写真をやってみたい、という方はいらっしゃるでしょうか。もし、いらっしゃったら一つ心に留めておいて欲しいことがあります。

それは決して豪華な暗室と結果は比例しない、ということです。

アンセルアダムズの本では暗室の理想像とでもいうのかな、レイアウトのプランについて細かく書いている部分があります。作業効率や居住性を考えれば確かに参考になります。しかし貴方がもし、金に糸目をつけずにそれが出来る方でも、お勧めいたしません。なぜだかわかりますか・・・・?

それは、暗室環境を立派にしたために作品の力を失い、衰退していった愛好家、写真家をたくさん見てきているのです。今のところ例外はありません。

私の師匠の師匠がそうでした。自宅の離れに暗室部屋を作り、作品活動を始めたとたんに自分から「モチベーションが下がった」と漏らされました。なぜでしょう・・・?

また、これも十年近く前の話ですが当時、芸大に通っていた女性の知人がそうでした。女性の暗室というものに興味があって、ぜひ取材させて欲しいと願い出たのですが、暗室を改装するから待ってて欲しい、という返事でした。

ところが、その後一向に取材OKの返事が来ません。確かに暗室を改装した直後は喜んでいたのですが、それから作品らしい作品に出会うこともなく、彼女はモノクロ写真を辞めてしまいました。

何があったのか聞くと「気が入らなくなった。」という返事だけ。
今はマンガ部屋になっているそうです。

プロの方からも似たようなことは数例聞きました。私は「気が分散した」と見ているのですがいかがでしょう。

皆、暗室作業をするにあたり、大なり小なりの苦労を超えていくものなのでしょうね。私もマンションの廊下と玄関だけだったから続いたのかもしれません。

プロや達人の中には階段の下や風呂場、物置の一角を利用して作業している人も多々いらっしゃいます。でも、作品はものすごく見ごたえのあるものが多いのです。苦労を乗り越え、楽しみと結果を求めるのは登山に例えられるかも知れません。

私はそれをとてもステキな事だと思います。
ラベル:暗室
posted by 暗室奉行 at 20:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 暗室について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月08日

実録・我が家に暗室環境を作る

暗室モノクロ写真を勧めると、たいてい人から「暗室つくるのって難しそう」と言われます。
確かにそうですね。一部屋を暗室に改装することを考えれば一大事かもしれません。家人のOKは簡単に出ないでしょう。わかります。でも、そんなに難しいことですか?暗室を作るのって。。。。。

実はとても簡単に出来てしまうものなんです。

「暗室」を作ろうと思うから難しいのです。「暗室環境」つまり真っ暗に出来る環境なら簡単じゃないですか。私も狭い2LDKのマンションの廊下と玄関を利用して作りました。リビングに抜けるドアを遮光すれば完全に真っ暗でしたから容易いものです。

廊下と玄関あわせて幅80センチ×3mぐらいのスペースで、私も暗室作業を楽しんでいました。でも、それじゃ大きいプリントが焼けないだろう、と思いますか?いえいえ、私はここで大全紙(51センチ×61センチ)もプリントしたことがあります。要は工夫ですよ、工夫。

問題は家人の説得。私の場合、家内に内緒でいきなり中古の引伸ばし機を手に入れ、部屋に堂々と置きました。当然、家内は文句を言いますが、すぐに捨てられない、捨てると金がかかるということをチラつかせ、しばらく放置していました。

そして、休日にいきなりプリントをするわけですが、まずプリントしたのは家内の写真。こういうこともあろうかと、以前にこっそり撮っていたものです。

やがて家内が仕事から帰ってきたら、暗室特有のにおい、数々のプリント・・・・・。普通なら文句が先に出るのでしょうが、写っているのは他人ではなく自分のポートレート。そりゃ、文句も言えなくなります。そして、とっておきの決めゼリフが炸裂。


「暗室を作ったら、真っ先にプリントしたかったのがこの写真やねん。」


見事、決まりました。家内、苦笑い。まぁ、誰にでも通じるワザではありませんが、ともかく暗室を無事、開業できた次第です。


このように普通のマンションの廊下と玄関が・・・・・

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このようになりました。

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あと、リビングに抜けるドアにダークカーテンを取り付ければ完成。
準備のための所要時間は約40分でした。


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このように工夫すれば大きなサイズもプリント出来ます。

posted by 暗室奉行 at 12:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 暗室について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月07日

それぞれの暗室、その計り知れない魅力。

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「暗室」って聞くとまったく知らない人からすれば不思議な響きでしょうね。
おそらく昔、火曜サスペンスの再放送か何かのシーンで一度ぐらいは見たことあるでしょう。

引伸ばし機がデンと置いてあって、その続きに薬液の入ったバットが複数並べられている。鼻をつくような酸っぱい臭いと、ちょっとかび臭い空気、そんな中に長時間にわたって篭城するなんて、なんか変ですね。

でも、ここで写真作りのために篭城する人は、何かに取り憑かれたような心地よさと生みの苦しみを味わうわけです。人それぞれに環境は違うのでしょうが、そこで生まれ育った一枚の写真は間違いなく手塩にかけた息子の如く、だと思います。

実感としては、男性にとっての暗室は「隠れ家」のような感じでしょう。誰にも踏み込まれたくない自分だけの「秘密基地」ではないでしょうか。その感覚は単なる作業場という意識を軽く超えている感じですらあります。

一方、女性の方にとっての暗室は、聞いたところによると、すべては自分のためにある「キッチン」のようです。いや、もちろんすべての方がこんな風に思ってるわけではないでしょうが。。。私は男なのでこの辺はよくわかりません。

共通するのは、「さぁ、写真を焼くぞ」と決めたら最後、出来上がるまで誰が来ようと出てくることのない特別室なのです。当然、そこで数々のドラマが生まれるわけです。

焼き付けて、薬液にさらして、確認して、失敗を理解して・・・こんなことが自分でストップをかけない限り続いていきます。ん? 時間の無駄ですか?私もそう思いますよ。それでも、完成したかな、と思ったとたんに、同じカットをまたプリントしているのです。中毒ですね、もはや。

ところで暗室で集中できるのは二時間ぐらい、だと聞きます。それ以上になると、要所でつまらないミスをしたり、思惑がどんどん外れていったりするものです。こんな時はコーヒータイムですね。よく、朝に暗室に入ったのに外に出れば夜になっていた、という人の話も聞きます。私もなんども経験しました。でも、決してプリントが良くなるわけではないんです。

で、結局は昼過ぎにプリントしたものが一番出来がよかったりするんですね。後の時間は何だったのでしょう。これが集中力の途切れです。

皆さん、時間と印画紙が無駄になるので注意しましょう、と言っても中断出来ないのが暗室の魅力なんですね。
posted by 暗室奉行 at 22:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 暗室について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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