2011年01月12日

印画紙の号数について

印画紙を初めて買う方、特に誰もアドバイスしてくれる人がいない場合、何を買えばいいかわからないものですが、私の場合まず「フジブロマイド紙WP FM-3」というタイプをお勧めします。

光沢紙で3号という位置付けのものをなぜ勧めるかと言いますと、光沢紙の場合、完全な暗黒環境でも手触りで確認し易いことが挙げられます。

さらに3号という号数は人によっては2号が標準だという向きもありますが、3号の次は2号、そして4号を試してみなさい、という誘導に向けての理由です。では、3号とは一体、どんな調子なのでしょうか。それ以外の号数とはどんな感じなのでしょう。

まず、3号による見本です。

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2号です。ゆるやかな中間調です。

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4号です。コントラストがはっきりしています。

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つまり白から黒までの階調の連鎖具合が違うのです。2号の柔らかさがいい写真もあれば、4号のパンチの効いた黒が欲しい写真もあります。これら号数の選択は写真の内容や表現方法によって変わります。

しかし今では「多階調印画紙」と呼ばれる印画紙が主流になっています。号数の表示がなく、階調はフィルターの選択で自由に行ってください、というものです。フィルターはフジフィルムやイルフォードから市販されています。

たとえばフジの場合、引き伸ばしレンズに抱きかかえるような構造をしたホルダーを取り付け、そこに任意のフィルターをセットして使います。

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このフィルターと多階調印画紙との組み合わせにより、従来で出来なかった0号や5号、あるいは3.5号といった階調の表現もできるようになりました。
ラベル:印画紙
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2011年01月10日

暗室用品の選び方・印画紙現像編

【暗室用品の選び方・印画紙現像編】

〔1〕引伸機……選ぶポイントは3つあります。まず(1)どのくらいの大きさまで引き伸ばすか、(2)予算、(3)フィルムのサイズ。ゆったりスペースを確保できる方ならさほど悩みはありませんが、作業スペースは何かと制約があるものです。

高価なものほど台版の面積が広く安定していて、支柱も太く、長くしっかりしています。大きいサイズのフィルムも周辺ボケを気にすることなく作業ができます。引伸し機を選ぶ決め手の大半はここが決め手となります。

引伸機はさらに集散光式と散光式とに分かれます。前者はフィルムの粒子模様がはっきりと主張するようにプリントが出来ます。反面、ネガのキズやホコリにも敏感です。後者はソフトな仕上がり具合のプリントになります。キズやホコリが目立ちにくいメリットがあります。便利さを優先して考えると、お勧めは散光式のカラー用引伸機でしょうか。引伸機がカラー用でもモノクロプリントは可能です。多階調の印画紙をプリントする時にはイエローとマゼンタの内臓フィルターの組み合わせでプリント出来ます。フィルターの目盛をゼロにすると号数タイプの印画紙もプリント出来ます。

〔2〕引き伸ばしレンズ……35ミリフィルムなら50ミリレンズでいいでしょう。6×4.5サイズなら75ミリ、6×6サイズなら80ミリという一応の目安はあります。とはいっても、別に75ミリレンズで35ミリフィルムのプリントが出来ない訳ではありません。引き伸ばし倍率が犠牲になるだけの話です。四切プリントを焼き付けるのに、かなり上まで引伸機のヘッドを上げなければいけなくなります。

案外知られていないことですが、引き伸ばしレンズは消耗品です。一般の撮影レンズと違って後ろから強烈な光を何度も当てられるのですから、新品と使い込んだものとでは劣化度が全然違います。粒子のエッジの立ち方やトーンの出方など、引き伸ばして比べてみると歴然とした差が現れるものです。

〔3〕フォーカススコープ……引き伸ばす時にピントを見る道具です。一般のルーペと違いミラーが取り付けられています。これはミラーに写る空中像でピントを合わせる構造になっています。安価なもので十分機能しますが、大伸ばしをする時に周辺までピント確認するにはこのミラーの大きいものの方が便利です(ピークルーペ)。

〔4〕イーゼルマスク……引き伸ばしサイズそれぞれに必要になります。2枚羽根と4枚羽根のタイプがあります。安価なものは2枚羽根の方ですが、上下左右均等な余白をとってカッコよく仕上げるのにはやはり4枚羽根のタイプです。

〔5〕 引き伸ばしタイマー……引伸機に直結するもので必需品です。引伸機に内蔵されている場合はわざわざ買う必要はありません。これは買う場合に特に決め手はありませんが、長い間使っているとやはり精度が気になるものです。

〔6〕暗室時計……ホビーショップなどで1000円前後で売られているキッチンタイマーを使う手もありますが、結果的にこちらを買う方が賢明になります。暗い環境の中、時間を気にする時に文字盤の大きい、小さいはかなりの差があるものです。

〔7〕セーフライト……真っ暗な作業環境の中、唯一の明かりがこれです。中には10Wか20Wの電球を入れ、表面にセーフライトガラスをはめ込んで使います。作業環境から最低でも1.5メートルは離しておく必要があります。また、セーフライトガラスにもいくつか種類があり、合わないものを使ってしまうと印画紙が光線カブリを起こしてしまいます。

〔8〕液温計……暗室環境が常に水温20度の環境にあるとは限りません。極端に温度差がある場合は冷暖房が必要ですが、作品作りのデータの基本は液温と時間にあると言っても過言ではありません。もしものために複数用意したいものです。

〔9〕バット……現像、停止、定着、水洗の4枚は最低限必要です。LPL社ではバットにも赤や白といった色分けがされています。現像は白、定着は赤という分け方でも構いません。アルカリと酸は必ず区別してお使い下さい。ちなみに四切サイズのバットなら2〜3リットルが液量の目安です。

〔10〕ピンセット……竹製、ステンレス製、プラスチック製などいろいろあります。さびにくいものや洗いやすいもの、使い勝手で決めてもいいでしょう。特に決まりはありません。先のゴムが劣化する前に買い換えておいて下さい。

〔11〕タオル……水洗後の印画紙の表面をぬぐい、余分な水滴を取るのに使います。

〔12〕ダークカーテン……遮光するための必需品です。細かい隙間などを遮光するのにはテーピングよりもアルミホイルの方が向いていると思います。

〔13〕メスカップ……アルカリと酸、両極端な性格の液体を使います。当然、最低限2個は必要になります。プラスチック製で充分ですが、温度の高いものや低いものを色々頻繁に注ぎ込むせいか、よく割れます。予備は必要です。

〔14〕ポリビン……薬品を貯蔵しておくボトルです。出来れば現像液と定着液は違う形のものに分けておいたほうが安全です。

〔15〕現像液……市販のもので印画紙用なら何を使っても像は出てきます。濃縮液体タイプと粉末タイプとに分けられます。すぐに作業したい場合は濃縮タイプをつかうことになります。粉末タイプは溶いてから半日程度置かないと液が安定しません。それ以外の使い分けは印画紙の性質に合わせることが肝心です。たとえば印画紙がRC(ポリエチレンコートしてある)タイプならさほどの差はありませんが、バライタ(ファイバーベース)タイプの印画紙なら、現像液が冷黒調タイプか温黒調タイプかによってかなりの差が出てきます。

〔16〕定着液……フィルムの定着と同じ種類のものを使います。(フィルム、印画紙両用での使いまわしは避けて下さい)作業効率を高めるためには迅速タイプのものをお勧めします。ただし非硬膜タイプの定着液はピンセットなどによる傷や汚れがつきやすいので注意する必要があります。

〔17〕停止液……酢酸を希釈したもので使い捨てです。現像の進行を止める役割をします。

〔18〕撹拌棒……薬品の結晶を砕いたり、かき混ぜたりする棒です。これも酸とアルカリを区別する意味で2本は欲しいところです。

〔19〕カッター……テストピースを作るのに、また白いふちを裁ち落とす時に必要です。

〔20〕水準器……引伸機の台版やイーゼルマスク、テーブルなどが平行にセットされているか調べるもの。大伸ばしをする時にこれがないと周辺ボケにつながる恐れがあります。

〔21〕ドライヤー……市販のもので結構です。水洗した後の印画紙を急速に乾燥させたい時にあると便利です。

〔22〕印画紙……目的によってサイズ、面質、黒の調子の分類が出来ます。さらに構造的な分類としてRC(WP)タイプとバライタタイプ(FB)とに分けられます。サイズはともかく、面質とは光沢(グロッシー)、半光沢(セミマット、パール)、微光沢(サテン)、無光沢(マット)とあり、目に一番インパクトのあるものはやはり光沢です。

そのため一瞬で勝敗の決まるフォトコンテストにはこれが一番有利とされています。逆に展示用には光沢は向きません。照明物の反射を拾うこともありますが、半光沢や微光沢のほうが、目に優しく鑑賞できるようです。無光沢は水墨画を思わせるような描写を狙う時にいいでしょう。初心者の方には暗室の闇に中で確認しやすい光沢紙をまず、お勧めします。

黒の調子とは印画紙の持つ黒の特徴のことです。黒も純黒、温黒(ウォームトーン)、冷黒(クールトーン、コールドトーン)という種類があり、選択は個人の好み、目的に合うかどうかにゆだねられます。純黒が一応の黒の基準になりそうですが、これもメーカーの特徴として、純黒ではあっても温黒気味なのも見られます。また冷黒寄りのものもあります。

さらに、RCタイプ(WP)という樹脂でサンドイッチされた状態にある印画紙が現在の主流を占めています。このタイプは薬品処理や水洗の過程で液体が印画紙の中にほとんどしみ込まないので、作業時間が短く、乾燥も速く効率もいいでしょう。

一方、バライタタイプ(FB)の印画紙は特有の美しい調子と抜群の保存性の高さにより、芸術的価値の高い作品によく利用されています。RCタイプと違い、作業時間が長く、自然乾燥するとカールするため平面保持には工夫が必要になります。

印画紙の選択は、目的や表現方法によって選び方が決まります。またバライタタイプは処理薬品に影響されることが多く、効率、効果は研究して望みたいものです。
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暗室用品の選び方・フィルム現像編

【暗室用品の選び方・フィルム現像編】

〔1〕現像タンク……フィルムを現像するためのタンクです。樹脂で出来ているものとステンレス製のものに分けられます。フィルムが巻きやすく、巻き込み時の失敗の少ないのは樹脂製の方ですが、撹拌方向が一定のため、わずかながらムラが起こりやすいのが欠点です。安価なで初心者の方にはこちらの方が向いています。

ステンレス製のタンクは樹脂製のものと比べて液量も少なく、撹拌方向に自在性があるのでムラが出来にくいメリットがありますが、フィルムの巻き込み方法にコツがいり、うまく巻きつけるまで練習が必要になります。共通して言えることはリールにフィルムを巻き付けるというよりも、リールにフィルムを引っ掛けて、リールのほうを均一に回転させていく感覚で望むと失敗は起こりにくくなります。

〔2〕ダークバッグ……現像タンクにフィルムをセットする時に使う簡易の暗室環境です。
タンクを入れた時にスペースにかなりの余裕がある方が作業もしやすくなります。逆に、狭いと作業効率に影響が出るばかりでなく、手から汗が出て、フィルムがベタつく恐れがあります。

〔3〕はさみ……市販のもので十分機能します。

〔4〕液温計……現像作業のすべての指針になるものです。いざという時のために予備は必要になります。

〔5〕フィルムクリップ……乾燥時にフィルムをつるす時に使うオモリです。これを使わないとフィルムに巻きぐせがついて焼付けの際、ピント不良を起こします。

〔6〕メスカップ……薬品を溶き、タンクに注入する際に使います。アルカリと酸、という異なった性格の薬品を溶くため、2個必要ですが、効率を考えた場合、もう一つ欲しいところです。プラスチックのもので十分機能します。

〔7〕ポリビン……薬品を貯蔵しておくボトルです。出来れば現像液と定着液は違う形のものに分けておいたほうが安全です。

〔8〕撹拌棒……薬品の結晶を砕いたり、かき混ぜたりする棒です。これも酸とアルカリを区別する意味で2本は欲しいところです。

〔9〕ネガシート……透明なタイプのものはそのままベタ焼きがとれるので便利です。

〔10〕暗室時計……アラームをセットできるため、一般の時計のように時間の見間違いが起こりません。

〔11〕スポンジ……水洗した後のフィルムから余分な水滴をぬぐいます。

〔12〕フィルム現像剤……濃縮液体タイプと粉末タイプとに分けられます。すぐに作業したい場合は濃縮タイプをつかうことになります。粉末タイプは溶いてから半日程度置かないと液が安定しません。種類としては微粒子現像剤、標準現像剤、増感現像剤と分類できます。使い分けはフィルムの性能によって違います。通常、低感度のフィルムは階調豊富なため、コントラストが犠牲になるのを避ける目的で微粒子現像剤を、高感度のフィルムはコントラストが高く、階調が犠牲になりがちなため、その階調を補う目的で増感現像剤を使用いたします。

〔13〕停止液……酢酸を希釈したもので使い捨てです。現像の進行を止める役割をします。

〔14〕定着液……現像が終わったフィルムの未露光部分に残った銀を落とす役割をします。未露光部分が透明になればOK。基本的には反復使用が可能ですが、一部例外のフィルムもあります。液体の非硬膜タイプは迅速に処理できますが、高温現像には向きません。本来、印画紙用のようです。
ラベル:暗室 現像
posted by 暗室奉行 at 16:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 初心者向け技術解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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