2011年01月19日

バライタ印画紙との格闘、その3。

暗室作業とは一種の伝承文化です。

我々が日常で実践する暗室作業は、先輩方が培ってこられた技術の片鱗を、見よう見まねで実証し、失敗を経てから自分で身につけていくものです。しかし中には、間違っていると言えばオーバーですがちょっと拡大解釈し過ぎるものも中にはあるようです。

その典型が水洗の時間。

バライタの印画紙は水洗効率が悪く、長時間にわたって水洗しなければ変色するとか、印画紙に悪い影響が出るといったことが言われています。印画紙メーカーの説明書や古い参考書には確かに30分以上、というような記述もあったりしますが、これを縮めることが出来る薬品があるのはご存知ですね。

水洗促進剤。そうフジのQW。イルフォードやコダックからも出ていますが、これを使えば水洗時間はかなり短縮できるはずなのですが、これを使わずに現像、停止、定着という過程で特に定着と水洗に時間をかける方が多いように見受けられます。

日本人特有の長風呂の習慣のせいか、これに美徳を感じている人がほとんどですね。
しかし、これが印画紙によくないんです。
波打ち現象の原因の一つはこれによるものです。

水洗促進剤と聞けば、水道代の節約や時間効率を連想する人がいますが、それ以上に印画紙のために使う、と理解した方がいいでしょう。本来、水洗とは印画紙に残留したハイポの洗い出しが目的ですので、やみくもに長ければいい、という考えはちょっと違います。

短時間で洗い出てしまうのであれば、それに越したことはありません。

長く水に漬けることがなくなればカールもマシになるというもの。
だってその分、紙の繊維が傷む時間が減るわけですから。
水洗促進剤とバライタ印画紙はセットのようなものとお考え下さい。

私の師匠のプロ作家の方は、定着は規定どおりの時間、水洗促進剤につける時間は長め、水洗は短めという規律をずっと守ってこられています。

中には定着時間も水洗時間も規定の三倍以上という人の話を聞いたことがありますが、仕上がり具合をわざと悪くしておられるような気がしてなりません。

バライタ印画紙のカールはエッジ部分に残ります。
定着液に漬け過ぎ、水洗のし過ぎで紙の繊維が傷んだエッジはピンとするのは難しいでしょう。

長風呂は紙の健康にもよくないんです。
posted by 暗室奉行 at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 裏ワザ・小ワザ・珍ワザ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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