2011年01月09日

「黒」を追求する

暗室モノクロ写真の宿命とでもいいますか、写真の内容はともかく自分でも納得のいく「焼き」が出来るまでずいぶんと時間がかかるものです。この熟練度は写真に確実に現れるものですが、最も悩んでいる人が多いのはこの「黒」の再現ではないでしょうか。

自分では「やった!」と思いつつも、ギャラリーや美術館に展示されている作品を見た時に打ちのめされた気分になるのは、やはり「黒」。この黒の内容が違いすぎるのです。

一体どこに原因があるのでしょうか。
一般的に「しまりのない黒」が出来てしまう要因を少し挙げてみましょう。

● 露光時間が適正でなかった
● 現像時間が足りなかった
● 印画紙の号数が合っていなかった
● 定着時間が長すぎた
● 水洗時間が長すぎた
● 液温が低かった(現像、定着とも)
● セーフライトの光がカブった

他にも要因らしきものはありますが、そもそも究極の「黒」とはどんなものでしょう。たとえば、新しい印画紙を天日にさらし、現像、停止、定着、水洗を温度、時間ともに規定通りに処理すると「真っ黒」になりますね。

つまり、通常はこれ以上の「黒」はあり得ないんです。もっとも、この時点で「黒」にしまりがなければ薬品の疲労度を疑う必要がありますが。。。。。

意外に知られていないのが定着と水洗時間の長さです。

定着液は疲労度もわかりづらく、現像、停止の次の段階の「受け皿」みたいに扱われている感じがありますが、ここで写真を溜め込むと黒にしまりがなくなってきます。また液温17℃以下では、まともな黒は再現できません。

水洗時間はRCペーパーなら5分程度ですむものですが、ベテランから教えてもらった人は結構長い時間、水洗するクセがついていますね。バライタ時代のクセが染み付いておられるのでしょうか。長時間の水洗は水道水の「塩素」の影響を受けてしまいます。

引き伸ばし機を使う段階でこれだけ原因があるんですが、実はフィルム現像、さらには撮影の段階でも後の「黒」に影響を与えている点があります。

そのお話は、長くなりますのでまた次回に。
posted by 暗室奉行 at 22:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 失敗分析 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ピント合わせはどうするの?

初心者の方が暗室デビューした時に、初めてあたる壁がピント合わせではないでしょうか。
イーゼルマスクの上に投射された絵柄はネガのまんまですので、かなり見づらいことと思います。

その状態から引き伸ばし機のピントノブを回してピントを合わせるのには、口頭で説明してもなかなか理解を得られるものではありません。そこで、どういう状態がピントの合った常態かをご覧頂くために、擬似的にその状況を作ってみました。

まず、元画像のネガ状態がこれです。

00000-1.jpg

さて、引き伸ばしサイズにもよりますが、ピントルーペを真ん中に持ってきて覗いた状態がこの状態です。ここではまだピントが合っていません。

00000-1C.jpg

ピントノブを回すにしたがって、徐々にピントが合ってきます。これでおおまかに合っているようですが、、、、。

00000-1B.jpg

この状態がピントの合っている状態です。粒子が「砂鉄」のような感じに見えたらOKです。このポイントは一箇所だけですので根気よく探してみましょう。

00000-1A.jpg

なお、画像そのものが見えない、という方は見る角度がズレていると思われます。目の位置を上下して、まず像そのものが見える状況から始めて下さい。また、ネガのコンディションや引き伸ばしサイズ、フィルムの種類などによって多少、見え方が違う点はご理解願います。
posted by 暗室奉行 at 15:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 初心者向け技術解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

引き伸ばしレンズ

000000m.jpg

暗室技法というものは、人それぞれが経験の中で発見していくものです。

では、暗室技法の基本は何か、と聞かれれば、それは書籍で紹介されているものではなく、メーカー推奨通りの処理条件(時間、温度など)で処理した結果だと私は勝手に思っています。

でも、そんな中で意外にも語られていないのが“引き伸ばしレンズの絞りはいくつが最適か”という点でした。別にいくつでもいいようなものです。8だろうが11だろうが、ネガのコンディションにもよるでしょうし。

確かに入門書には焼きつけの解説の時に「レンズの絞りを8にして」というような記述がありますが、それが何故か、は解説していません。

私にとってもどうでもいいような問題でしたが、そうも言っていられない事態が起きました。出展のためのプリントを大全紙で仕上げなければいけなくなったのです。大全紙といえば印画紙の平面性を考えると絞り込むことになりますし、そうなれば時間がかなりかかることになります。

私は師匠に相談すると意外な返事が返ってきました。
「ネガのコンディションや仕上げサイズに関わらず、レンズは開放から一段絞った状態で使いなさい。」

師の話では、レンズは開放から一段絞った状態が最もネガの粒状性を美しく再現できるとのことです。実際にやってみてわかったのですが、16まで絞ったものは、全般的にピントは合っているようだけど粒状性が悪く、トロンとしたような感じでした。一方、絞り4の方は非常に先鋭です。一目瞭然の結果が出ました。

以来、私はレンズの絞りは必ず開放から一段絞った状態で使っています。



posted by 暗室奉行 at 00:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 豆知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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