2011年01月07日

それぞれの暗室、その計り知れない魅力。

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「暗室」って聞くとまったく知らない人からすれば不思議な響きでしょうね。
おそらく昔、火曜サスペンスの再放送か何かのシーンで一度ぐらいは見たことあるでしょう。

引伸ばし機がデンと置いてあって、その続きに薬液の入ったバットが複数並べられている。鼻をつくような酸っぱい臭いと、ちょっとかび臭い空気、そんな中に長時間にわたって篭城するなんて、なんか変ですね。

でも、ここで写真作りのために篭城する人は、何かに取り憑かれたような心地よさと生みの苦しみを味わうわけです。人それぞれに環境は違うのでしょうが、そこで生まれ育った一枚の写真は間違いなく手塩にかけた息子の如く、だと思います。

実感としては、男性にとっての暗室は「隠れ家」のような感じでしょう。誰にも踏み込まれたくない自分だけの「秘密基地」ではないでしょうか。その感覚は単なる作業場という意識を軽く超えている感じですらあります。

一方、女性の方にとっての暗室は、聞いたところによると、すべては自分のためにある「キッチン」のようです。いや、もちろんすべての方がこんな風に思ってるわけではないでしょうが。。。私は男なのでこの辺はよくわかりません。

共通するのは、「さぁ、写真を焼くぞ」と決めたら最後、出来上がるまで誰が来ようと出てくることのない特別室なのです。当然、そこで数々のドラマが生まれるわけです。

焼き付けて、薬液にさらして、確認して、失敗を理解して・・・こんなことが自分でストップをかけない限り続いていきます。ん? 時間の無駄ですか?私もそう思いますよ。それでも、完成したかな、と思ったとたんに、同じカットをまたプリントしているのです。中毒ですね、もはや。

ところで暗室で集中できるのは二時間ぐらい、だと聞きます。それ以上になると、要所でつまらないミスをしたり、思惑がどんどん外れていったりするものです。こんな時はコーヒータイムですね。よく、朝に暗室に入ったのに外に出れば夜になっていた、という人の話も聞きます。私もなんども経験しました。でも、決してプリントが良くなるわけではないんです。

で、結局は昼過ぎにプリントしたものが一番出来がよかったりするんですね。後の時間は何だったのでしょう。これが集中力の途切れです。

皆さん、時間と印画紙が無駄になるので注意しましょう、と言っても中断出来ないのが暗室の魅力なんですね。
posted by 暗室奉行 at 22:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 暗室について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「無駄」を楽しむ暗室モノクロ道

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この世の中で重宝される言葉の一つに「便利」という言葉があります。

「便利になったねぇ。」
「こっちの方が便利だよ。」

どう考えても「便利」という言葉は「善」のイメージしか沸いてきません。
しかし、本当にそうでしょうか?

たとえば今のコンピュータ社会は、昭和の時代からすれば「便利」以外の何者でもありません。情報がいち早く入手でき、目的を達成させる点について言えば、便利に越したことはないでしょう。

便利さというものは時間効率、手間、コストなどを極力省き、目的を達成させるために求めるものです。でも、それってある意味、「楽しむこと」を奪うことになりませんか?

もっと言えば「楽しむための時間」を限りなくゼロに近づけているように思うのです。
「便利」という言葉の対極にある「無駄」、これを楽しむのが贅沢なことだと思いますがいかがでしょう。

今ではデジタルが当たり前になった写真の世界も、無駄を承知でゆっくりと楽しんでみませんか。暗室の中で一人、写真の誕生と向き合う、、、、、実に贅沢な世界です。

決して効率がよくもないし、お金もかかります。
はっきり言って、写真愛好者の中では完全に少数民族です。
それでも絶滅しないのは何故でしょう?

そこには「生み」の素晴らしさが実感できる世界があります。
現像液という産湯につけられた印画紙が「写真」と命名されるまで、貴方一人で付き合うのです。
「便利」とは程遠い世界ですが、素敵なことではありませんか。

そんな暗室モノクロ写真について語ってみたいと思います。
posted by 暗室奉行 at 02:05| Comment(0) | はじめに。。。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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